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歯を失ったらどの治療を選ぶ?インプラント・ブリッジ・入れ歯を歯科医師はどう判断する?

歯を失ったらどの治療を選ぶ?

歯を失ってしまったとき、代表的な治療方法として「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、

「結局どの治療が一番いいの?」
「できればインプラントにしたいけれど、自分にもできる?」
「ブリッジと入れ歯なら、どちらを選ぶべき?」

と迷われる患者様は少なくありません。

しかし実際の診療では、「歯を1本失ったから、この治療」というように単純に決められるものではありません。

失った歯の周囲にどのような歯が残っているのか。噛み合わせや歯並びはどうなっているのか。そして患者様の年齢や全身状態、ライフスタイルはどうなのか。

さまざまな要素を確認したうえで、その患者様に合った治療方法を考える必要があります。

今回は、歯を失った患者様にインプラント・ブリッジ・入れ歯などをご提案するとき、私が実際の診療でどのようなことを考えているのかをお話しします。

歯を失った「場所」だけを見て治療方法を決めるわけではありません

歯を失った場合、まず確認するのは欠損した部分だけではありません。

私は、失った歯の周囲に残っている歯の状態、歯並び、噛み合わせなど、お口全体の状態を確認することを大切にしています。

例えば、同じように1本の歯を失った患者様でも、隣の歯が健康な場合と、すでに大きな治療を受けている場合では、治療方法に対する考え方が変わることがあります。

また、歯を失った原因について考えることも重要です。

虫歯や歯周病、歯の破折など、歯を失う理由はさまざまですが、その原因がお口の中に残っていれば、新しく治療した部分にも将来的に問題が起こる可能性があります。

単純に「なくなったところを人工物で補えば終わり」ではなく、なぜその歯を失うことになったのかまで考える必要があります。

さらに、患者様の年齢や全身の健康状態、普段の生活、セルフケアの状況なども確認します。

これらを総合的に判断したうえで、それぞれの治療方法について説明し、患者様と一緒に治療方針を考えていきます。

インプラント・ブリッジ・入れ歯にはそれぞれ特徴があります

歯を失った場合の治療方法として代表的なのが、インプラント・ブリッジ・入れ歯です。

インプラント

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療です。

周囲の歯を大きく削らずに失った歯を補えることや、固定式であるため天然歯に近い感覚で噛みやすいことなどが特徴です。

一方で、外科的な処置が必要であり、全身状態や顎の骨の状態などによっては適応が難しいことがあります。

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣などの歯を支えとして、橋をかけるように人工の歯を装着する治療です。

固定式のため取り外す必要がなく、比較的違和感も少ない方法ですが、支えとなる歯を削る必要があります。

また、噛む力を周囲の歯で支えることになるため、支台となる歯の状態も重要です。

入れ歯

入れ歯は取り外し式の装置によって失った歯を補う治療方法です。

外科手術を必要とせず、複数の歯を失っている場合にも対応しやすいなどの特徴があります。

一方で、患者様によっては装着時の違和感を強く感じたり、噛み心地に慣れるまで時間が必要になったりすることがあります。

どの方法にも特徴があるため、「どの治療が一番優れているか」ではなく、「その患者様にとってどの方法が適しているか」を考えることが重要です。

▶関連記事
「入れ歯・ブリッジ・インプラントの違いとは?歯を失った時の治療法を紹介」

周囲の歯が健康な場合、インプラントが選択肢になることがあります

私がインプラントを治療の選択肢として考えるケースの一つが、歯を失った部分の隣の歯がまだきれいな状態にある場合です。

ブリッジで治療する場合には、一般的に周囲の歯を支えとして利用します。

そのため、治療されていない健康な歯が隣にある場合、その歯を削ることについても考えなければなりません。

インプラントであれば、基本的には失った部分を独立して補うことができるため、周囲の天然歯への影響を抑えながら治療できる可能性があります。

また、入れ歯を使用しているものの、違和感が強く、装着を続けることが難しい患者様についても、全身状態やお口の状態などを確認したうえでインプラントを検討することがあります。

ただし、

「歯を失ったらインプラントにすればよい」

という考えではありません。

患者様によっては、別の治療方法の方が適していることもあります。

全身状態やセルフケアも治療方法を選ぶ重要な判断材料です

インプラント治療では外科的な処置を行うため、患者様の全身状態を確認することが重要です。

持病や服用している薬などによっては、手術を避けた方がよいケースや、主治医との連携が必要になるケースがあります。

そのような場合には、インプラントだけにこだわらず、ブリッジや入れ歯など別の治療方法も含めて検討します。

そして、私がもう一つ重視しているのが、患者様のセルフケアの習慣です。

インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきや骨は細菌による影響を受けます。

治療後のセルフケアが十分でなければ、インプラントの周囲に炎症が起こり、長期的な維持が難しくなることがあります。

そのため、「インプラントを入れられるか」という現在の状態だけではなく、治療後に患者様ご自身で管理を続けていけるかという点まで考えて治療方法を検討することが大切です。

これは以前の記事でもお話ししましたが、インプラント治療は「入れたところで終わる治療」ではありません。治療後のセルフケアと定期的なメンテナンスまで含めて考える必要があります。

将来的な「やり直し」をできるだけ少なくする治療を考えています

歯を失った患者様の治療計画を立てるとき、私が大切にしている考え方の一つが、将来的なやり直しをできるだけ少なくすることです。

歯科治療は、一度治療すればその状態が一生変わらないとは限りません。

年齢を重ねれば、残っている天然歯の状態も変化します。全身の健康状態や生活環境、セルフケアを行う能力などが変わることもあります。

だからこそ、現在だけを見て治療方法を選ぶのではなく、

「10年後、20年後はどうなっている可能性があるのか」
「将来的にも管理しやすい状態になっているか」

という視点を持つことが重要だと考えています。

例えば、今はご自身で十分に歯磨きができ、問題なく通院できていても、将来的に身体の状態が変われば、同じようにセルフケアや通院を続けることが難しくなるかもしれません。

さらにその先には、介護が必要になったり、寝たきりになったりする可能性もあります。

そうなったときにも、できるだけ大きな問題が起こりにくく、ご本人やご家族、介護される方が管理しやすいお口の状態にしておくことまで考えて治療計画を立てることが大切です。

歯を残すことも、将来を見据えて考えます

これは歯を失った後の治療だけの話ではありません。

以前の記事でもお話ししましたが、私はできるだけ天然の歯を残すことを大切にしています。

一方で、歯を残すこと自体が目的にならないようにすることも重要だと考えています。

状態の悪い歯を何度も治療しながら維持することで、将来的にトラブルを繰り返したり、患者様の負担が大きくなったりすることがあります。

さらに、将来通院が難しくなったときに問題が起きれば、十分な治療を受けることが難しくなる可能性もあります。

そのため、医学的な状態や患者様の年齢、ライフステージなどを考えた結果、将来的に安定したお口の状態を作るために、抜歯を含めた治療計画をご提案することもあります。

これは「歯を残さなくてもよい」という意味ではありません。

できるだけ天然歯を大切にしながらも、目の前の一本だけではなく、お口全体と患者様の将来まで考えて判断するということです。

▶関連記事
「できるだけ歯を残すために、歯科医師が考えていること|「残せる・残せない」はどう判断する?」

患者様が希望する治療方法と、私たちがおすすめする方法が違うこともあります

歯科医師として診査・診断を行った結果、

「医学的にはこちらの治療方法をおすすめしたい」

と考えることがあります。

一方で、患者様には患者様の希望があります。

例えば、

「手術はできるだけ避けたい」
「取り外し式の入れ歯には抵抗がある」
「できるだけ自分の歯を削りたくない」
「治療期間や費用も考えて決めたい」

など、治療を選択するうえで大切にすることは一人ひとり違います。

そのため、私たちがおすすめする治療方法と患者様が希望される治療方法が必ず一致するとは限りません。

そのような場合にも、私は患者様ご自身の選択を尊重することを大切にしています。

歯科医師の役割は、一方的に治療方法を決めることではありません。

それぞれの治療方法のメリットだけでなく、考えられるデメリットや将来的なリスクについてもできるだけ分かりやすく説明する。

そして、もし私たちが第一におすすめする方法とは異なる治療を患者様が選択される場合にも、その選択によってどのようなリスクが考えられるのかを十分に理解していただく。

そのうえで、最終的には患者様ご自身に治療方法を選択していただくことを大切にしています。

迷ったときこそ、お口全体の診査を受けてください

歯を失ったとき、

「インプラントにした方がいいのかな」
「ブリッジなら早く治療できる?」
「入れ歯でも問題ない?」

と、まず治療方法から考える方も多いと思います。

しかし、実際には治療方法を決める前に確認しておきたいことがあります。

それが、失った部分だけではなく、お口全体がどのような状態になっているのかです。

歯を失った原因がほかの歯にも存在していたり、噛み合わせや歯並びに問題があったりすれば、失った部分だけを治療しても、長期間安定した状態を維持できないことがあります。

歯を失った場合には多くの治療方法があります。

だからこそ、最初から「私はインプラント」「私はブリッジ」と治療方法を決めてしまうのではなく、まずはお口全体の診査を受けて、

なぜその歯を失ったのか。
残っている歯はどのような状態なのか。
噛み合わせに問題はないか。
これから先、どのようなお口の状態を目指すのか。

まで確認することが大切です。

そのうえで、それぞれの治療方法について説明を受け、ご自身が納得できる方法を選んでいただきたいと思います。

「今治すこと」だけではなく、その先まで考えた選択を

インプラント・ブリッジ・入れ歯には、それぞれ異なる特徴があります。

どれか一つがすべての患者様にとって正解というわけではありません。

私たちが治療方法を考えるときに見ているのは、失った歯だけではなく、周囲の歯や噛み合わせ、歯並び、年齢、全身状態、セルフケア、ライフスタイルなど、お口と患者様を取り巻くさまざまな要素です。

そして、その時点で治療ができるかだけではなく、将来的なやり直しをできるだけ減らし、年齢を重ねても管理しやすい状態を作ることまで考えて治療計画をご提案しています。

もちろん、最終的にどの治療を受けるかを決めるのは患者様ご自身です。

私たちはそれぞれの選択肢について、メリット・デメリットや考えられるリスクまでお伝えしたうえで、患者様が納得して治療方法を選べるようサポートすることが大切だと考えています。

歯を失って「どの治療を選べばいいのかわからない」という方は、まずは治療方法を決めるところからではなく、現在のお口全体の状態を知るところから始めてみてください。

熊谷市の歯医者、エル歯科医院では、現在のお口の状態だけでなく、患者様のライフステージや将来まで考えながら、一緒に治療方法を検討していきます。

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